2000年6月30日金曜日

2000年6月30日(金)

ツアーから戻ったその日から2日間、ヘルツのリハーサルをやってQUEでのライブにのぞ む。
限られた時間内でヘルツが次の段階へむかうきっかけをつかむことができるのかどうかという不安、緊張、期待のため、リハーサルはいつもよりも張り詰めた空 気の中で始まっ た。学君が持ってきた変拍子の新曲が面白い。学君はドラムを離れて、なんとギターにトラ イ。それではと寺さんはベースを離れてドラムにチャレンジ。本番ではどうなったかと言うと、寺さんはやっぱりベースを弾いてました。学君は生涯初、ステー ジでギターを披露。僕はシンセのフィルターをいじくりまくって効果 音、ノイズにトライ。
ライブは全体に、よりループ感、ミニマル感が増して、やってる側もいつも以上に トランス状態。エンジニアの佐藤氏のダブ効果もより必然性を増した。
このまま曲を終わらせずにずっと続けていたい気分になった。
ヘルツは音の快楽に向かってさらに加速度がついてきた。どうなってしまうのだろう。
明日からリクオ東名京阪ツアー用のリハーサル。 新曲にもトライする予定。

2000年6月18日日曜日

2000年6月18日(日)

昨日、北海道ツアーから戻る。
6月の北海道はよい。プライベートでゆっくりと来たくなった。温泉につかって、水族館に行って、海をながめて、美味しいものを食べて、よく 飲んで、よく歌った。 北海道のお客さんは来る度に気さくになってくる感じ。もう少しクールにやるつもりだったのに、随分調子に乗せられてしまった。
ただ、栗山のお客は少し手がかかった。 酒歌楽というスナックを借りてのライブで、いつもより平均年齢が高めの客層。それは多分、あまり興味もなく頼まれてチケットを買ったお店の常連さんによる ところが大きい。そのおじさん、おばさん達がちとやっかいだった。アップテンポの曲では手拍子などして喜んで乗ってくれるのだが、聴かせる曲に なると途端に集中力を欠き私語に走りがちなのだ。この人達を黙らせるのがこの日のライブの一つのテーマになった。熱くなり過ぎてはだめ。いらついてはだ め。あまり意識しすぎずにチャンスを待った。その時が来た。 僕は目の前のマイクをはずし肉声で歌いはじめた。ピアノは歌うのに最小限必要な音だけを弾く。あまり叫ぶ必要はない。むしろささやけばよい。空気が張り詰 め、皆が耳をそばだてはじめたのがわかった。両手はピアノを離れ、僕は手拍子をとりながらアカペラで歌い始めていた。ひろがる手拍子の中で歌は祈りになっ た。この日の「パラダイス」の演奏のことはきっと忘れないだろう。

2000年6月9日金曜日

2000年6月9日(金)

最近、酒の席で相当に激しい口論をやらかした。口論の最中、お相手から「リクオって 相当に嫌な奴だね。」との言葉を頂く。はっきり言って快感だった。これでひるむどころか、ますます調子に乗ってバトルしてしまった。皮肉ではなく、自分の 気持ちをここまで開放させてくれたお相手には感謝しな ければいけない。言葉で相手を傷つけておいていい気なものだが、その時は気持ちがよかった。
明日からツアー。こんな暮らしがいつまで続くのだろうと、ふと考える。こうやってパソコンの前にいると毎晩ステージで盛り上がる自分が不思議に思え る。最近は自動スイッチが入るようにライブ直前にぱっと気持ちが切り替わることが 多い。6月の北海道ははじめて。楽しみだ。

2000年6月5日月曜日

2000年6月5日(月)

昨日は千葉県鴨川の浜辺でのライブイヴェントにヘルツで出演。天候にも恵まれ気持ち良く演奏させてもらった。ステージ前方、上半身ビギニ姿で踊る女性と何度も目で会話。 野外のお客は開放的でよい。

リハーサルが午前中で終わったので本番まで随分と時間が空いていてしまい、メンバーそれぞれ勝手に時間をやり過ごす。僕は近くの防波堤の先で心地よい風に吹かれながら読書&昼寝。読んでいたのは岡本太郎「今日の芸術」。
先日のトウキョーミュージックサロンの打ち上げの席で、学君と鈴木祥子ちゃんが 岡本太郎の話で盛り上がっていたのが気になって購入した。 明晰な論理と強い意志を併せ持つ内容で、読んでいてかなり煽られる。
モダニズムからアバンギャルドヘ。ー時代のセンスをなぞってゆくのではなく。乗り越えて行くー
このテーマは今後のヘルツにとって、より重要になって行きそう。 まあ、あまり固く考え過ぎず、直感を頼りに手探りを続けよう。

2000年6月3日土曜日

2000年6月3日(土)

2000年6月3日(土)
船木選手に対する自分の言葉を読み返す。こんなファンがいたら大変だね。最後ぐらいやさしく「お疲れさま」と言ってあげ ればいいのに。

幸福と快楽の話の続き。そのときある女性は僕に「私の幸福はいつも一瞬よ」と言って渋沢龍彦の説を一蹴。彼女の幸福のつかまえ方にとても興味を持った。また別 の女性の言葉。 「リクオは観念的過ぎるのよ」 こういう話は前菜みたいなもんです。
ここから先はお相手を選びます。真夜中、器材搬出のためマネージャーテツが来る。搬出の後、夜風に吹かれながら気付いたら長話。これからのヘルツのことなど話す。同じようなことを考えていたことがわかって嬉しかった。