2006年2月17日金曜日

2/17 (金)

南青山にあるZ・imagineで行われた鈴木亜紀ちゃんのマンスリーライブにゲスト出演。
 Z・imagineは縦長で30席程の小さなバー。 カウンター席で飲みながらライブを聴くのがオススメ。ステージにはヤマハのグランドピアノが常設されている。この日は2人のセッションのために特別に、客 席後方に置かれて眠っていたフェンダーローズ(打弦式のエレピ)がステージに並べられる。
 満席で、常連のお客さんも多いらしく、いい雰囲気。自分の出番は休憩明けなので、1部は客席で、ワインを飲みながら、亜紀ちゃんの弾き語りを聴く。
 彼女のMCによると、今夜のライブのテーマは「女と男のロマンティシズム」なんだそう。
 始めて聴いた新曲の「港タクシー」「旅人眠る」には「参りました」という感じ。股旅ものを歌う女性って、日本ではめずらしいと思う。ビリーホリデーの歌がそうであるように、彼女の歌も「涙が枯れた後の歌」。哀しくても、どこかユーモラスで、笑えたりする曲が多い。
 こんなに才能のある人が多くの人に知られることなく埋もれたままでいるなんて、どういうことやねん?どうにかならへんのか?と思ってしまう。まあ、人のことより自分のほうを先になんとかせいという気もするが。
 旅を知らない人、愛とか恋に振り回されたり、それらについて突き詰めて考えたりしたことのない人には、彼女のリアルは届きにくいのかもしれない。こんなに豊かな情景を切り取って歌にしてくれているのに、それらを想像したり感じ取る受け手が少ないのだとしたら、寂しい。
  この日のライブ会場でもBMG音楽出版のMさんに会う。今まで、Mさんが惚れ込んで関わった代表的なアーティスト及びバンドはRCサクセション、クレイ ジーケンバンド、浜田真理子の3組だそう。Mさんにとって亜紀ちゃんはどうやらその4人目のアーティストのよう。そういう話を聞くとちょっと嫉妬するが、 亜紀ちゃんを気に入ったMさんは信頼できる。Mさんからは「リクオの新しいアルバムは期待していいんだね」と言われる。
 Mさんは、亜紀ちゃんの ライブに毎回、知り合いの業界人を誘っていて、今回は元キティーの元社長、現ユーズミュージック取締役のKさんを連れて来る。Kさんとお会いするのは多分 8年ぶりくらい。60になった今も現場によく足を運んでおられるようで、去年の渋谷クアトロのクレフィンのライブにも来てくれていたそう。Mさんや、Kさ んのように、会社の重役に就きながら、こういったアンダーグランドな現場にも足を運んでくれている人がいるのは嬉しい。
 亜紀ちゃんの歌を受けて2部のステージへ。ソロで5曲歌った後、亜紀ちゃんを招き入れて3曲共演。色っぽいステージになった。
 ライブの後しばらくZ・imagineに残って飲む。知り合い達にリクエストされて、亜紀ちゃんが再びピアノへ。
 歌い出したのが藤圭子(宇多田ヒカルのお母さん)の「夢は夜ひらく」。昭和歌謡である。この曲、幼稚園のころ好きやったなあ。で、山本リンダの「こまっちゃうな」と来たもんだ。なんで、そんな曲歌えんねん。
 Z・imagineを出た後は、麻布十番に移動してKさんいきつけのスナックヘ。
 Kさんは、矢沢永吉、吉田拓郎、南圭孝といったそうそうたるアーティストのディレクターを担当してきた人であり、現在は音楽配信の仕事にも携わる、言わばマーケティング、ヒット作りのプロである。アーティスト側とは違った視点の意見を色々と聞かせてもらう。
  今はネットを利用した音楽配信の時代に突入しているから、アーティストのキャラクターやライブの良さが伝わらなくても、ヒット曲が生まれる時代なのだそ う。ただし、曲は始まって30秒以内で、サビまでいかなくてはいけない、つまりダウンロードでの無料試聴が30秒だからということらしい。今、ヒット中の アクアタイムズはKさんが関わったのだそう。
 Kさんから「君は、死んでから評価されるのでもいいのか、生きているうちに評価されたいのか、どっちだ?」聞かれる。
 Kさんは、売れなければ意味のない、評価されない現場で、黒子として活躍し続け、日本のポップス文化をつくってきた人なのだと思う。自慢話を聞かされてる気もしたが、貴重な話も色々と聞けた。この親父をもっとぎゃふんと言わしたらなあかんなと思った。

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