2007年5月5日土曜日

尾道満喫

広島県尾道市 妙宣寺
 いい天気。日中は尾道の街を散歩。
 自分は基本的に海沿いの港町が好きである。尾道はその中でも最も居心地の良い街の一つ。とにかく喫茶店、カフェの多い街で、散歩していて一息つきたくなれば、すぐ近くに落ち着いて洒落たお店を見つけることができる。、茶店、カフェ好きの自分としてはとても嬉しい。
  この日はまず知り合いのヨシザキ君がやっているカフェ&ブティック、ハライソへ。お店が引っ越してからは初めての訪問。とてもいい雰囲気。内装も外装も手 作りだそうで、大阪の天下茶屋からやってきた20代の女性が、デザインの多くを手かげたそう。彼女は店がオープンすれば大阪に帰るつもりだったのが、尾道 が気に入ってそのまま居着くことにしたそう。最近はそんな風に他地区から尾道に移り住む若者が増えているようだ。
 ハライソを出てから、しばらく街をぶらついて、海沿いの茶店でまた一息。その後リハーサルへ。
 リハーサルの後は山の手方面を散歩。坂道の石段が趣があってよい。色々なタイプのお地蔵さんを方々で見かける。寺と神社が多いのもいい。野良猫がやらたと多くて、皆のんびりとしている。
 クレフィンのブログの方に尾道の写真をたくさんアップしたので、ぜひそちらの方も見て下さい。
 妙宣寺でのライブは今回で4度目。住職の加藤さんはグランドピアノを本堂に置いてしまうくらいの音楽好き。音響機材も揃えていて、妙宣寺でライブをやるときのPAエンジニアはいつも加藤さん自らが担当。照明は毎回お願いしている佐野さん。
 開演の頃には、本堂に敷きつめられた座布団が人で埋まる。尾道に来る度にお客さんの数が増えているのが嬉しい。
 自分のステージの前に、林芙美子研究家でもある88歳のおばあさん池田康子さんによる語りと自作の詩の朗読が行なわれる。
 88歳とはとても思えない凛とした佇まい。気品と知性がにじみでる語り口。とても話し上手。貴重なお話を聞かせていただいた。
  特に第2次世界大戦当時の話が印象に残った。終戦直前、アメリカ軍戦闘機が尾道上空にやって来て、数日後に空襲を行なう旨予告するチラシをばらまき、街は 危機に瀕する。しかし、空襲予告日の2日前に、日本がポツダム宣言を受け入れ終戦となり、街は難を逃れたのだそう。空襲を受けていれば、尾道は壊滅的なダ メージを受け、今のような趣のある街並を残すことはできなかっただろう。
 そんな話の後に尾道への思いを綴った詩が康子さんによって朗読された。とても素敵な詩と語りだった。詩の内容に自分が尾道に抱いていた想いと重なる部分もあり感銘を受けた。
 康子さんの詩の朗読が終ると、多田がその詩にメロディーをつけた曲をピアノで弾き語る。これがまた素敵で、この2人のコラボレーションに立ち会えただけでも、来た甲斐があったなと思えた。
 その後の、奥さんのじゅんこちゃん、女性ヴァイオリン奏者らをむかえての多田のステージも良かった。彼の作る曲を自分もカヴァーしたいと思うようないい曲。
  尾道にいると、こんなに小さな街なのに閉塞しない。なにか風通しの良さを感じて、気分が楽になる。旅人に優しい街なのだと思う。多田夫妻を通して尾道でい ろんな人に出会い、彼らの多くが旅人の心を持っていると感じた。そんな人達が横の繋がりを持ち、自分達で楽しみを探し、共有しながら暮らしいることが素敵 だと思う。そんな繋がりの中で、こうしてお客さんが集まってくれているのだ。多田の作る曲は、尾道の生活の中から生まれた歌ばかり。それらは風に乗って、 山を越え、海を越え、どこへでも流れてゆくしなやかさを持っている。尾道は人を心の旅人にさせる不思議な力を持った街なのかもしれない。
 たくさんの力をもらってステージに上がることが出来たから、とても楽な気持ちで、さまざまなものと響き合いながらいい時間を共有させてもらった。ありがと。

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