2008年11月15日土曜日

ASYLUM2008!!ー最高に楽しくて最後に考えさせられた

沖縄県那覇市 桜坂劇場ホールA
「ASYLUM2008」
「カフェミルトンへのサウダージオキナワ2008」
出演:新良幸人&下地勇/山口洋&リクオ/EPO/沢田としき(ライブペインティング)
  このイベントの首謀者である桜坂劇場の野田君は、これまで内地からのツアーミュージシャンと地元ミュージシャンの両方のライブを沖縄で企画してきた。彼は しばし沖縄から日本各地に足を運び、中央だけでなく地方で音楽文化を育もうと活動している人達との交流を積極的にはかってきた。「ASYLUM2008」 はそうした彼の姿勢が多いに反影されるイベントになった。
 今年の3月、野田君はわざわざ宮城県白石市にあるカフェ.ミルトンまで山口とオレのライブを観に来てくれた。そのときに彼からこのイベントへの出演依頼を受けたのだ。
  この日のホールAのステージには「カフェミルトンへのサウダージオキナワ2008」という副タイトルがつけられた(ちなみに同じ時間帯のホールBではバン バンバザールと比屋定篤子ちゃんがジョイントライブが行われていた)。ホールAの出演者は皆白石にあるカフェ.ミルトンのステージに立ったことのあるメン バー。EPOさんと新良幸人くんとは初対面、初共演である。もちろんミルトンの三浦夫妻もイベントに参加。ミルトン.マスターは開演前、1階のオープンカ フェのデッキで、DJを担当。ママはデッキに立ち、ブラジルのカクテルを皆にふるまった。

 出会い、再会、繋がりに満ちたイベントがス テージに素晴らしい化学反応をもたらしてくれた。特に沢田としきさんによるライブペインティングとのセッションはとても新鮮だった。曲に合わせて、キャン バスの絵が映像を見るようにダイナミックに変化していった。時として絵筆は、演奏に合わせてパーカッションになり、実にリズミカルにキャンバスを叩いた。 曲によっては沢田さんが大きなアクションでエンディングの合図を示してくれたりした。
 アンコールはメンバー全員で「テネシーワルツ」と「満月の 夕」をセッション。新良幸人&下地勇の2人は「テネシーワルツ」をウチナー言葉で歌った。「満月の夕」に新良幸人の三線はすごくはまっていた。 EPOさんのコーラスは曲に華やかさを加えた。実に印象深いセッションになった。
 アンコールの後、オレの紹介でステージに上がったミルトンママ&マスターが、来年の4月にミルトンのある白石で街フェスを開催することを発表した。点と点は確かにつながった。
 ライブの後、サイン会のために表に出ると、カフェのデッキで生音のセッションが始まっていた。お客さん、出演者、関係者らが入り交じって、劇場前の通りでライブの余韻を楽しんだり、飲んだり、語り合ったり、歌ったり。ストリートに音楽が満ちていた。

 この日は打ち上げの盛り上がりも凄ましかった。初対面同士がここまでアホになれるとは。ナイチャー(内地の人間)とウチナンチュ(沖縄人)が入り交じってのバカ騒ぎが夜更けまで続いた。素晴らしい。
  弘前アサイラムから斉藤さん、白石ミルトンから三浦夫妻、飯田からタテちゃん、渋谷BYGから安本さん、相馬の森田レコードから森田さん、長崎のベイサイ ドバーから工藤君、石垣島のすけあくろから今村さん&百ちゃんetc.ほんと各地から多くの人達がこのイベントに集まった。中央ではない場所で確実に音楽 文化は育まれ、つながりはじめている。そういう現場にいられることは、とても幸せだ。
 ほんとお腹いっぱいの1日だったのだが、打ち上げの後にも、さらに考えさせられる出来事が用意されていた。

  2次会のお店に向かう前に、沖縄そばを食べようという話になり、地元のタケチャンが皆を24時間営業の沖縄そば屋に連れて行ってくれた。そこでそばを食い 終えた後、店前の路上にしゃがんで、しばし皆と語り合っていたら、同じそば屋にいた自分と同世代くらいと思われる酔った男性客がこちらにつっかかるような な口調で「オマエらナイチャーか?」と聞いてきた。そうだと応えると、男は「税金は払ってるのか?」「ナイチャーは金儲けばかり考えて、ウチナンチュをば かにしやがって」などとまくしたてはじめた。
 つまり内地の人間が住民票を移さずに沖縄にやってきて、税金も払わずに金儲けばかりして、沖縄を食い物にしている、と言いたいわけだ。彼の訴えはしばらく続いた。
  男性が今の沖縄の現状や自分の境遇を、すべてナイチャーのせいのように語るのはどうかとは思ったけれど、ナイチャーに対してこのような感情、不信感を抱い ているウチナンチュは彼だけではないのだろう。その男性はナイチャーが沖縄のほんの一面にしか目をやらないことに対する不満も口にした。それはその通りな のだろうと思った。
 もしかしたら、翌日に市長選挙を控え、那覇には普段とは違うピリピリした空気があったのかもしれない。訪問者の自分達は、そういうことには無頓着だった。
 話し合いを続けるうちに男性は落ち着きを取り戻し、こちら側に非礼をわびてくれた。
 自分達は沖縄を食い物しようとは露にも思っていないけれど、自分達の無頓着さが結果としてそのような状況をもたらすこともあるのかもしれない。肝に銘じておくべきだと思った。
 なんと濃密な1日。

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