2008年2月28日木曜日

下北ナイト

 2日間ほぼ完全にスイッチを切って休む。
 ずっと緊張感を維持していて、睡眠不足がつづいていたので、とにかく昨日までの2日間は寝てばかりいた。昼に起きて飯食って寝て、夕方に起きて、夜に飯食って、またすぐに寝るという感じ。もう何もする気が起こらん。何も考えたくない。そういうわけにもいかんけど。
 
 今日になってやっと体のだるさが抜ける。夜は下北で打ち合わせを2つ。
 まず打ち合わせ場所であるラ.カーニャに行ったらハンバートハンバートの良成がリハーサル中だった。あ、今日ライブか。
 黒糖焼酎を一気に飲み干し、また後で顔を出す約束をして、店を出る。
 風知空知に場所を変えて、1つめの打ち合わせ。その後、やなちゃん(柳原陽一郎)がたまたま下北440でライブをやっていると聞いたので、1部だけ顔をのぞかせてもらう。
  やなちゃんのステージを観るのはほんと久し振り。いや~、色んな面で素晴らしかった。やなちゃん、相変わらずいい曲書いてなんなあ。しかし、やなちゃんの 歌から「君が好きだ~」なんてフレーズが聴けるとは。でもその曲がほんとよかった。そのサビのフレーズにいたるまでの曲の流れにすごくリアリティーを感じ た。美しい曲やなあ。ジョン.レノンの「God」を思い出した。
 生音の音量バランスを重視したバンドの演奏も素晴らしかった。あの若い女性フルート奏者は誰?すごく才能を感じた。もちろん後で紹介してもらった。
  1部の演奏が終わったら、近くの寿司屋に移動して、2つ目にの打ち合わせ。打ち合わせを終えて440に戻ったらアンコールの最中。オレの好きな「Blue Eyes」が演奏されていた。ライブの後、CDを買ってから、楽屋を訪ねて、やなちゃんと久し振りに再会。ファンみたいにCDにサインしてもらった。やな ちゃん、久し振りに再会したのに、なんかクールな反応。恥ずかしかったん?前に下北で一緒に飲んだ時に、オレが泥酔してしまって、やなちゃんがあきれた様 子で先に帰ってしまったことあったけど、そのことまだ怒ってる?また一緒にやろうね。
 440を出て、またラ.カーニャに戻る。カウンター席に座って、良成やお客さん達と飲む。フータさんもいたなあ。酒の回りが心地よい。 
 そうそう3月20日(春分の日)に久し振りにラ.カーニャで弾き語りやるんで遊びに来てね。

2008年2月25日月曜日

確信

 この日は歌入れ1曲とプロモーション用を兼ねて3曲をラフミックス。ミックスされた音を聴いて、すごくいいと思った。やっとこういう音が録れたなあという感慨。
 自分の今までのキャリアの中で、最も重要な作品になることを確信。この作品を自分のあらたなスタートにするべきだと思った。
 この日で録音はいったんお休み。しばらくクールダウン。3月後半からまた再開の予定。
 焦らず、妥協せずにやってこ。

2008年2月24日日曜日

内見

東京へ通える範囲内で、海の近くへの引っ越しを考えていて、日中はいくつかの物件を内見。
 自分の条件に合う物件が見つかる。
 夜にはハシケンのライブを観に行く予定にしていたのだけれど、連日のレコーディングで疲労が蓄積していて、明日も歌入れなので断念。

2008年2月23日土曜日

気迫込める!

 今日はブラック.ボトム.ブラス.バンドのヤッシー(トロンボーン)とコーチャン(トランペット)がレコーディングに参加してくれた。ホーンアレンジを 現場で一緒に考えたりしたから、結構時間がかかった。よりシンプルに、音数を減らし、間を生かした演奏をお願いした。これって音をうめるよりも、ずっと難 しいことなのだ。二人ともこちらの要望に根気づよく耳を傾けてくれたおかげで、いいテイクが録れた。
 夜は歌入れ。ここは勝負所の一つと思い、相当に気迫を込める。エンジニアの笹原さんには無理をお願いして夜中の3時過ぎまで付き合ってもらった。
★スタジオの前で笹原さんと日向ぼっこ。

2008年2月22日金曜日

トラブル発生

スタジオのマックが故障。実は今回のレコーディングで2度目の機材トラブル。またもレコーディングは中断してしまった。やれやれ。いろいろありまんなあ。

2008年2月21日木曜日

奥野君参加

ソウル.フラワー.ユニオンのレコーディングが終了した翌日から、また自分のレコーディング。この日はソウル.フラワーの鍵盤奏者の奥野君がオルガンでレコーディングに参加してくれた。
  もう古い付き合いだから、オレの指向、センス、性格を理解してくれていてありがたい。二人の間には同世代ならではの共通した感覚というものが確実に存在す る。今回奥野君には派手なプレイではなく、つぼを狙ったわかってる演奏をしてもらった。彼の参加で楽曲の物語性がぐっと高まった。

2008年2月18日月曜日

才能集結

3日間のリハーサルを経て、この日から3日間ソウル.フラワー.ユニオンのレコーディング。今回はHEAT WAVEの山口洋もレコーディングに参加。
いろんな部分で音楽に対する方法論の違う山口洋と中川敬の2人が、同じ現場で、どんなスタンスで向かい合いながら、作業を進行させてゆくのか、そこで自分が何を感じ取るのか、とても興味深く、楽しみにしていたレコーディングだった。
 2人は期待通りのせめぎ合いを見せてくれた。確信に満ちた存在が2つあると、色んな意味で自分の立ち位置、やり方を自覚するいい機会になる。
 それにしても2人とも耳がほんとに良い。聴こえてしまうものを、適当に聞き過ごすことはできない。2人とも自分の才能に対して忠実である。
 2人の才能を実感しながら、自分は自分の才能について考えたりした。

2008年2月15日金曜日

生き血を吸ってやろう

南青山 AYOYAMA月見ル君想フ
出演:クリームチーズオブサン/砂場/リクオ/DialGroup
 この日の自分以外の出演者はおそらく皆20代。月見ルはこういう若手ミュージシャンとの共演イベントによく誘ってくれる。スケジュールの都合がつく限り、なるべく断らないようにしているのは、若い生き血を吸って自分が若返ってやろうとの魂胆があるからだ。
 自分は自分の年齢を自覚する一方で、これからどんどん若返って行くような気がしている。うん、実際そうなってるんとちゃうかなあ。
  ただ、若い人達と接していても、実は彼らからそれほど若者らしさ、若者の特権を感じていなかったりする。もっと生意気で、思い上がっていたり、突っ張って いてもいいんじゃないかと、正直物足りなさを感じてしまうことも多い。彼らから受け取るのものは、その人間が持つダイナミズムとか弾けた若さよりも、セン スであったり、空気感であったりする。そういうものを感じながら、自分は彼らや時代との共通言語を探っているのかもしれない。
 この日はお客さんが自分の掌の上に乗っかってくれた感覚。何か初めてのものを見るようなときめきが客席から伝わった。
 客席前方にえらい楽しんでくれている男性がいるなあと思っていたら、ボノボのドラマーの辻君だった。久し振りの再会。またどっかで共演したいね。
 ライブが終わったら他の出演者は早くに帰ってしまったので、お店のカウンターで月見ルの常連と思われる女性客と一緒に飲む。もとキャバクラ嬢、現在パチプロのお手伝いが仕事。話し好きのなかなかファンキーな姉ちゃんだった。

2008年2月11日月曜日

ただ集中

福島県いわき市 アクアマリン福島(水族館)
~アクアマリンバレンタイン~
 水族館のバレンタイン.イベントに2日間出演。
 館内のカフェで、午前11時と午後2時からの1日2ステージ。オレのことを知らない家族連れや、あまり聴く体勢にないお客さんも多くて、客席の集中力が散漫。なかなか空気をつくりづらかった。
 こういうシチュエーションでは、客席の気をひこうと余計なパフォーマンスをするよりも、ただ最高の演奏をするために自分の気持ちを集中させることが大事。回を重ねる度に、自分の集中力も高まり、ヴァイブレーションが客席に伝わっている実感があった。鍛えられるねえ。
 ここの水族館には以前にもツアーの際、地元の人達に連れて来てもらったことがあってお気に入りなのだ。特にイワシの群れがおすすめ。

 ステージを終えたら、慌ただしく上野行きの常磐線に乗って、ソウルフラワーユニオンのレコーディングのリハーサルへ向かう。

2008年2月8日金曜日

才能引力

 ストリングス.カルテット.レコーディング2日目。ストリングス9曲を2日間ですべて録ってしまうというのは、無謀である。それは最初からわかっていたのだが、それでも、やるしかなかったのだ。
 おのずと、ストリングス.カルテットの4人には、大きな負担をかけることになった。特にアレンジも担当してくれた歩ちゃんと阿部美緒には、相当な無理をお願いした。
  限られた時間の中でレコーディングがスムーズに進むよう、2人ともしっかりと準備を整えてレコーディングに望んでくれた。忙しいスケジュールの合間をぬっ て、アレンジをつめたり、4人分の譜面を書いたり、寝る間を惜しんで直前までやれるだけの準備をしてくれていたのだと思う。
 この日は5曲録音。 4曲目あたりから、4人に疲れの色が少しづつ見え始めてきた。けれど、誰も泣き言を言わず、気力でベストを尽くしてくれた。彼女達の音楽と仕事に対するプ ライドをすごく感じた。4人が演奏している姿は、美しく、かっこよかった。とてもいいテイクが録れた。アレンジも演奏も素晴らしかった。
 今回のアルバムは“さまざまな才能とのコラボレーション”の要素が強い。結局自分一人の才能なんて知れているのだ。自分の才能の引力で、いかに他の才能を引き寄せ、引き出し、組み合わせるか、それが今回のアルバムの成功の鍵の一つだ。



★ウコンの力を飲んで気合い入れる歩ちゃん

2008年2月3日日曜日

つつましさと欲望

 東京に戻る前に、コータロー君が八ヶ岳方面にある温泉に連れて行ってくれる。この日も雪が降り続け、すっかり白銀の世界。方々で雪かきをする人達の姿を見る。
 道中、コータロー君がカーステでジャック.ジョンソンの新譜を聴かせてくれた。我の主張のないとても心地よいサウンド。アルバムの録音はすべてソーラーパワーによって行われたそうだ。
 コータロー君の製作中のソロアルバムの音源も聴かせてもらった。スタジオを借りずに、じっくり、ゆっくり1年以上かけて、くるみで録音しているそう。そんなにいい機材を使っているわけでもないのに、やわらかく心地よい響き。
  それにしてもコータロー君は楽しそうに話をする。今の生活が充実しているのだろう。彼の生活は、都会の人間から見れば、つつましいに違いない。けれど、そ のつつましさの中で、彼はとても大切な"繋がり”を見つけつつあるようだ。それらは欲にまみれた生活の中では見失いがちなものなのだろう。
 ただ、それでも自分は、さまざまな欲望と向き合いながら、これからも矛盾を抱えたまま暮らしてゆこうと思うのだ。
★くるみの前で、コータロー君とお母さん。

2008年2月2日土曜日

録音スタジオから下諏訪へ

長野県下諏訪「御湖鶴」 
ICE CANDLE NIGHT SPECIAL LIVE
 レコーディングの余韻を残しながらJRで長野県下諏訪へ。車中、先日まで行っていたベーシック録りの音源をi-podで聴き続ける。いや~、かなりええんちゃう。
 本日は造り酒屋さんでのライブ。地元のイベンター、グッドニュースの木下さん、北原さんと久し振りの再会。
 お店には昭和40年頃に生産されたヤマハのグランドピアノがあって、それを弾かせてもらう。今とは使っている木が違うのだろう。実によく響く。
 お客さんもオレも「御湖鶴」で造られた日本酒をいただきながらのリラックスしたライブ。美味しかったなあ。レコーディングしたばかりの新曲を数曲演奏。
 諏訪の冬はとても寒くて、氷点下10度くらいまで下がることもざら。地元の人に言わせると、この日は暖かい方だと言うことだったけれど、日が暮れてから雪が振り出し大雪になった。
  この日は隣町の茅野市でくるみというライブ喫茶をやっている小池さん一家のところに泊めてもらう予定だったのだが、茅野に移動する前に、末っ子のコータ ロー君が知り合いのホームパーティーに参加しているというので、下諏訪での打ち上げの後に合流させてもらう。大雪の中、林道を30分程走って、標高千メー トルを超える山中の1軒家に到着。そんな場所に地元の音楽好き、イベント好きの若者が20数人集まってパーティーを楽しんでいた。
 集まった若者 達は、全員で多いに盛り上がるという様子でもなく、それぞれがマイペースに好きに時間を過ごしているという感じ。隣の部屋でなんとなくセッションが始まっ て、なんとなくその音を聴きながら、体を揺らす者もいるし、気にせずにずっとおしゃべりを続けている者もいる。ライブハウスよりもどちらかというとクラブ 乗り。
 1年半振りに再会したコータロー君は、木こりになっていた。彼が林業に従事するまでの経緯を、色々と聞かせてもらったのだけれど、その話は示唆に富んでいてとても興味深かった。
  木を切って山の環境を整えることが、山だけでなく、川や海の浄化にもつながってゆく。大切な仲間達と一緒に、そういう"繋がり”を感じながら仕事できるこ とが彼に充実感を与えているようだ。コータロー君にとって、音楽をやることも、木を切ることも、どちらも小さくて大きなサークルの中に、自分なりのやり方 で参加してゆくことの一環なのだろう。この話は連載しているコラムでもそのうち書かせてもらおうと思う。
 コータロー君から、山の音、木の音を一 度聴きに来てほしいと言われる。コータロー君や彼の回りの仲間を見ていると、暮らしの中に音楽がある、暮らしと共に音楽がある、という様子がうかがえる。 その感覚は、奄美や沖縄に行って、地元の人達の音楽との関わり方に触れた時の感覚に近いように思った。
 憧れとか、自己実現とか、自分探しとか、成り上がりとか、金儲けとか、そういう言葉達とは遠いところで音楽と付き合う世代が各地で育ってきている気がする。
★ライブ会場の御湖鶴さん
★ホームパーティーにて

2008年2月1日金曜日

ベーシック録り終了

 寺さん(ベース)、学くん(ドラム)、朝ちゃん(パーカッション)が参加して行われた新作のベーシック録音が無事終了した。
 4日間で12曲録 音。演奏のグルーヴ、空気感を生かすために、録音は全曲4人同時演奏で録音した。4日間で12曲を録り終えるというのは、かなり厳しいスケジュールだと 思っていたけれど、皆の演奏が素晴らしくて、ほとんどの曲は数テイクでOKが出た。1テイクでOKがでた曲もある。
 今は、長い時間をかけて暖めてきた構想、アイデア、イメージがやっと実現化し始めたという感慨と興奮と中にいる。一つの山を超えたけれど、制作はこれからもまだまだ続く。完成はまだ先だ。来週からまたレコーディング再開である。