2010年11月30日火曜日

「ホーボー・コネクション」大阪、東京公演を終えて

 CDデビュー20周年イベント「ホーボー・コネクション」大阪、東京公演を終えて、少しだけ一服。
 正直、あまりにも濃密な日々が続いていて、このダイアリーを更新する時間も、心の余裕もないような状態。
 大阪、東京公演は、自分の活動スタンスを集大成するような内容になったんじゃないかと思う。忘れたくない瞬間ばかりの4日間だった。
 一つ心苦しく思ったことは、デビュー20周年にかこつけたイベントということで、自分ばかりが皆から祝福されてしまったことだ。東京公演に参加してくれ たギターパンダことヤマカワノリヲ君も確か今年CDデビュー20周年だし、HEATWAVEもメジャーデビューしてから20年。
 というか、あの解放空間を皆で共有できたことが奇跡で、そのことをこそ一番に祝福し合いたかったのだ。お客さん、スタッフ含めて、イベントに参加してく れた人達それぞれが、出会えたこと、再会できたこと、繋がったこと、どうにか続けてこれたこと、そのことによって生まれた最高の瞬間を、皆で祝福し合いた いというのが、あの場にいた自分の心からの思いだった。
 そしてその場にいた人だけでなく、そこにはいなかった人達とも自分は繋がっていると感じた。生きていればきっとこの場にいたであろう人達、でも彼らは、 自分の中に今も生きている。そのことをはっきりと実感することができた。自分という人間は今迄出会ったいろんな人達の魂が融合して成り立っているんじゃな いか、そんな風に思ったりもするのだ。
 このイベントを通して、自分の中でいろんなものが繋がってゆく感覚がある。これからも転がり続けるためのエネルギーをたくさんもらった感じ。
 まだまだ旅の途中。多分ずっとそんな感じ。
 福岡、名古屋公演もよろしくです。

2010年11月14日日曜日

過去と現在をつなげで未来へ向かうー20周年イベント「ホーボー・コネクション」に向けて

 自分はある時期から、90年代半ば迄に作った曲をステージでほとんど演奏しなくなった。90年代後半から、自分の曲作りに対する姿勢が変化して、曲調が大きく変わったことが大きい。
 曲調の変化にともない自分のキャラも変化してしていった。若い頃は、「ステージでお客さんにコール&レスポンスを促したり、ライブ中にアルコールを注入 するようなミュージシャンにはならんとこう」と思っていたはずなのだが、今は率先してそういうことをやっている。どちらかというと、自分はある時期から、 正しいことより楽しいこと、欲望に素直になることを選んだところがある。
 デビュー前から付き合いのある大先輩のシンガーソングライター、友部正人さんから数年前に、「リクオはバンドじゃなくてソロなのに解散しているんだね」 と言われて、なる程と思った。そうやって振り返ってみると、デビュー以降、96、7年頃と、02年のヘルツの活動停止時期の2回、自分はある種の「解散」 を意識したのだと思う。
 自分は過去の自分のアルバムを聴くことがめったにない。特にデビューから5、6年までの時期の作品には、ふたをしてしまっているようなところがあった。
 数年前、メジャーレーベル所属時代の作品からのベスト盤を出すことが決まった時に、選曲のため、久し振りに自分の過去の作品に向きあった。アルバムを聴 いていると、当時の記憶や感覚がよみがえってくる感じで、懐かしかったり、胸が痛かったりした。やはり客観的に聴くことはできなかったけれど、素直にいい 曲だなと思える曲もあった。
 今回の20周年イベントでは、「解散」前の曲も演奏してみようと思う。ステージで、10数年振りに20代の頃に書いた曲を演奏して、自分がどんな風に感じるのだろうか。
 デビュー当時の自分の代名詞だったアコーディオンも弾くつもり。
 自分にとって「ホーボー・コネクション」は色んな意味を含んだイベントだけれど、その一つとして、自分の中でふたをしていた過去と現在をつなげて未来に向かってゆくための場になればいいなと思う。
 お待ちしてます。

2010年11月13日土曜日

サプライズプレゼント

 20周年イベント「ホーボー・コネクション」の準備に追われる毎日。この日は朝から夕方迄コード譜を書き続けた。30数組のゲストを迎えてのイベントというのは思いの他大変だなと今更ながら実感している。

 公には告知していなかったのだけれど、この日の夜は自分が暮らす藤沢の行きつけのミュージックバー、サウサリートで弾き語りのライブをさせてもらった。
 年中ツアーに出ていると、数週間ツアーの間が空くだけで、なんだか体がなまってくるような、むずむずしてくるような感覚がある。ここ最近はイベントの準 備で雑務に追われ、前売り状況を気にしてやきもきしたりと、少しストレスがたまりがちだったせいか、久し振りのステージは思った以上に解放感があった。そ れに、かなりの集中力で演奏できたことも収穫だった。
 デビュー当時の曲から、普段は演奏しないカヴァー曲まで、たくさんの曲を演奏した。会場の雰囲気は最高だった。地元の知った顔も多数。
 アンコールが終了直後、マスターのジョージさんからCDデビュー20周年を祝ってお花をプレゼントされた。その際、ジョージさんから、まだプレゼントがあるので、しばらくその場にとどまるように言われる。
 何が始まるのかと戸惑っていたら、ライブを観に来ていた鍵盤奏者の杉山睦美さんが自分の席を立ってピアノの前に座り、「アイノウタ」のイントロを弾き出 した。そのピアノに合わせてジョージさんがカウンター内でカフォンを叩き始める。今度は、客席後方のカウンターに座っていた鎌倉でケーキ屋を営むS君が立 ち上がって、お客さん全員に向かって指揮を取り出して、その場にいた皆が「アイノウタ」を歌い始めた。わお!ゴスペル教会の合唱みたい。
 思いがけないサプライズプレゼントだった。ジョージさんが、メール予約したお客さん全員に前もって連絡をして、開演前にこのサプライズの練習をばっちり行っていたのだそう。
 歌の後は今度はケーキのプレゼント。
 ほんとに感激した。
 この街に越してきてよかったなあと思う。