2012年3月16日金曜日

五感で繋がるー那覇で感じたこと

沖縄国際アジア音楽祭?musix2012? ライブハウスサーキット@桜坂劇場
【会場】桜坂劇場ホールA
出演:新良幸人withサトウユウ子/下地勇/リクオ
 石垣島出身の歌者、新良幸人くんと沖縄在住のピアニスト、サトウユウ子さんのデュオ録音によるアルバム「浄夜」は、昨年自分が聴いたアルバムの中でもベ ストの1枚だった。そんな二人に加えて、宮古島出身のシンガーソングライター、下地勇君とも久し振りに共演できるということで、この日のイベントに参加で きることが、とても楽しみだった。
 この日の那覇は26度を超える陽気。吹く風が実に心地よく、最近何かとせかされていた自分の心が、柔らかくほぐされてゆく気がした。

 新良幸人くんとサトウユウ子さんの演奏にはリハーサルの時から聴き入ってしまった。
 3.11以降、「繋がり」という言葉が、さかんに使われるようになった。自分自身も、その言葉をことあるごとに使ってきた。ただ、そこで言う「繋がり」 は、人間同士の繋がりだけを指していることがほとんどだったように思う。けれど、この時代の転換点において求められるのは、人間同士の繋がりだけではない はずだ。
 幸人くんや勇くんの音楽に触れると、彼らが生まれ育った土地の風土や歴史、自然との繋がりを強く感じる。とてもひろく響き合おうとする音楽だと思う。
 彼らの音楽からは、風の声や潮騒が聴こえ、懐かしい景色がひろがってゆく。ニオイや味も伝わってきそうだ。頭でっかちじゃない五感の豊かな音楽なのだ。
 そう、理屈や気持ちだけじゃなくて、もっと五感で繋がってゆくべきなのだ。今の日本で暮らす自分達に、決定的に欠けている点は、そこなんじゃないだろうか。「繋がり」という言葉の意味をもっと問い直すべき時なのかもしれない。

 アンコールでは出演者全員でセッション。幸人くんの名曲「満天の星」ではサトウユウ子さんとピアノを連弾した。素晴らしいセッションになった。この感覚を忘れずにいたい。
 もっと多くの人が、都会の中でも「満天の星」を感じて暮らしてゆけたら、人々の意識や価値観は随分と変わってゆくに違いない。


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